バングラデシュとアイスクリーム
2012年 09月 05日
日本の仕事が舞い込んだ時、彼は小躍りしました。「これでやっと家計にゆとりができ、姉や妹を結婚させられる!」初めは、サクラモヒラが泣く番でした。1つの型紙を渡して、5枚作ってもらったら、全部サイズが違い、見事なことには、デザインまで違えて5種類できてきました。ていねいにたたんで、あちこちのゆがみさえも美しくカヴァーしてありました。バッシャ君もこれではいけないことに気がつき、まだダッカでさえ、特に彼の社会階級では高根の花であったコンピューターを買いました。「コンピューターがあれば、新しい技術が習得できる!」
サクラモヒラのデザイナーがせっせと通い、献身的にトレイニングをしました。献身的にと表現したのは、彼女は報酬のことなど考えずに、ひたすらよい製品を作ってもらいたかったからです。バッシャ君は見習いの弟を遣いに出して、近所のお菓子ショップから高級アイスクリームを私たちにだけ買ってくれました。毎日、毎日、同じ高級アイスクリームを買ってくれました。私たちは皆が食べていない前で、食べるはめになり、あの高級アイスクリームはほんとに「当惑」の味がしました。断っても、断っても、彼は買ってくれたのです。彼の精一杯の気持ちだったのでしょうか。3年目になった時、バッシャ君の工房のスタッフは、ほんとに見事なジャケットを作ることができるようになりました。他の店からも注目を浴びるようになりました。その間、バッシャ君のお姉さんは良縁を得て結婚し、私たちも式にはお招きを受けました。バッシャ君も恋愛結婚を果たしました。
こんな関係がずっと続いてほしかったと心から思います。
なにかにつけて、単純には進まないのがこの世の中のきまりかもしれません。いろいろなことが起きるけれど、やはりもう1歩、前に足をだしてみようか・・・
# by sakura_mohila | 2012-09-05 16:08 | Comments(0)

