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草木染

陽光が春を歌い始めました。家の中に差し込む光を見ると、この光のなかにしばらく佇んでいたい、と夢見るけれど、自分の仕事は、出勤時間に追われ、帰宅は夜だ。夜も何かの仕事に常に追われて、普通の現代日本人の生活をしている。健康に動くことができていることを感謝して、それ以上の望みを持つことはやめよう。
Margaretge Forsterというイギリスの作家が、ご自分の母、祖母の生活スタイルを振り返って書いた、歴史小説がある。その中で、あまり裕とは言えない状況に育ったお母さんがほぼ毎日日記に書いている。「安定した生活があるのだから、これ以上のことを望むのはやめて、感謝していきよう」そのお母さんは真面目に生きて、認知症になって、生涯を終えた。一方、お父さんは仕事を退いたあとも、したいように、不真面目に生きて、(と言っても、几帳面にルーティーンをこなさないというだけのことだが)最後まで人生を楽しんだ。
人にはそれぞれに与えられた役目があるのだろう。
自分にはどのような人生が与えられているのだろう?そんなこと、幕を引いてみないとわからないから、とにかく毎日、せっせと日々をいきることにしようか。
つい、つい、こんなつまらないことを考えてしまうのだけれど、実は涙がでるくらいに感動したことがある。木曜日に働きにでている、香文木という手打ちうどん/そばのレストランの奥様は、庭の植物を中心に染物の先生をしている。
お正月に着物を着る女性たちから注文があったそうだ。「半襟を地味に染めて」彼女は彼女たちの要望に応えるべく、お正月の二日から作業にかかった。最近、染物を始めたダンサーの息子さんをアシスタントにして・・・
何枚かの染め上がった半襟を見せていただいたが、言葉がでない。草木染というのは、これまでに美しいのだ。あたかも、春の暖かな光が自然の中にある花を包み込んでいるかのようであった。
もう一度見たい、と願望するけれど、1週間が過ぎた今日あたりは、すでに注文主に納品したかもしれない。

このようにきれいな物を日々の生活の中で見ていると、おしゃれなモールで売っている製品がどれも魅力をもたない。お金も持たないので、限りある消費生活なのだが、それを忘れても、買いたい、という気持ちになれないのだ。
マーガレット・フォースターのお母さんのように、欲しがらないために「自分にはこれもある、あれもある」とあるものを数えているのではなく、自分の着ているもののおぞましさにあれも買ったらよい、これも買ったらよい、と思うけれど、欲しくないよ!

by sakura_mohila | 2020-01-23 11:20 | Comments(0)  

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