人気ブログランキング | 話題のタグを見る

帰国しました

ミラノとジェノアで、1週間を過ごして、帰国しました。
ジェノアでは、アパートメントを借りました。古い街のあちこちと人の生活は、見ても、見てもあきることがなく、旅には終わりがあって、ほんとに救われたと思います。古い街は、街角のどこにも古くからの物語があって、そのようなものを読んでいると、浦島太郎の親戚になったような時間が過ぎてゆくでしょう。
人がすれ違うことができない石畳の通りを歩いていると、当時の土木技術が忍ばれますし、両側の家の生活までもがのぞいてみたい対象になってしまいそうです。しかし、現在もその生活は続いていて、内装こそは変わったけれど、表向きの石の壁は当時のままです。
いろいろなことを連想しながら、その石畳の路地から路地へと進んでいると、なんだか違和感のある短い通りに出ました。ゆっくりと分かってきたことは、娼婦の通りなのだ、ということです。昼間でしたが、街角に立ったり、座ったりしているその女性たちは、後ろめたさもなく、ごく自然に営業しているふうでした。それで、こちらも、見てはいけないものの前を通るのではなく、普通に通りを通りました。おもしろかったです。
小銭が必要になり、カフェでコーヒーを飲もうと思いました。すると、初老に見える女性がなにやら難しそうな話をしてきます。どうやら、ホームレスの外国人で、ただの物乞いではなく、哲学的になにかを訴えているようです。
店主が、「ふ、ふ」と笑って、コーヒーをあげました。その笑い方から判断して、「ごもっとも」と言っているかのようでした。コーヒーがカップに入る間、他の客も、なんだ、かんだとふつうの会話をしています。
用事を終えて、そのカフェを見たら、件の初老の女性は外のカフェ席にゆったりと座り、コーヒーを飲みながら、ゆったりとたばこをくゆらせていました。
1時間後に、その場所を通ったら、まだ、ゆったりと座っていました。
翌日、少々期待してそのカフェの前を通りましたが、その女性はもういませんでした。

その同じ主要駅から数分の場所に小さなスーパーマーケットがありました。食料品専門です。その入り口とならんで、ふとんや毛布が積まれています。初めは、ごみ収集所かとおもいましたが、何度か通るうちに、それはどなたかの正式登録されていない住所であることに気が付きました。
ある時、通ったら、その食料品店で買ったかもしれないような、パンやケーキが袋に入れられて、布団の上においてありました。
こんな裏話、とてもおもしろかったです。



by sakura_mohila | 2019-10-11 16:50 | Comments(0)  

<< 自然とともに 野菜 >>